東北タイの玄関口として知られるナコンラチャシマ県で2月8日、戦闘服に身を包んだジャカパン陸軍一等曹長(少尉の一つ前の階級)がムアン郡(県庁所在地)にある大型商業施設「ターミナル21」に立てこもり自動小銃などで乱射を続けた事件で、9日午前9時ごろ、制圧にあたっていた軍・警察の特殊部隊が同曹長を射殺した。
同日午前9時30分、国軍・警察・保健当局が記者会見を行い、死者20人、負傷者42人(入院21人、帰宅21人)に及んだと発表。制圧にあたり特殊部隊10部隊から300人を超える警官・兵士が投入されたことを明らかにした。
事件が起きたのは8日午後3時、直属の上司である司令官をナコラチャシマ県の自宅で殺害。土地売買をめぐり金銭トラブルがあったとも伝えられている。午後4時、軍施設に乱入し乱射。兵士に複数の死傷者が出る。武器・弾薬等を持ち出し、午後4時30分、大型商業施設ターミナル21に逃げ込むが、その過程で銃を乱射し多くの軍関係者・市民が死傷した。
市民を人質にとった犯人は商業施設内で軍・警察の特殊部隊員と撃ち合いになるが、午後11時すぎ、警察庁犯罪制圧課がSNSを通じて施設内を制圧したことを発表。施設内に隠れていた市民がいっせいに逃げ出す。
ただ、犯人はそのまま立てこもり特殊部隊と撃ち合いとなるが、9日午前9時前に射殺された。その際、警官1人が死亡、2人が負傷した模様。
(バンコク週報 2020年2月9日)