深刻な経営危機に陥っているタイ国際航空は会社更生手続きを申請し、タイ中央破産裁判所の管理下で再建を目指す。タイ政府が19日の閣議で承認した。
タイ航空はタイ財務省が株式の51%を保有する国営企業。2012~2019年に累計約660億バーツの赤字を出し、2019年末の負債総額は約2450億バーツに上る。すでに危機的な状況の中、新型コロナウイルス感染症でほぼ全面運休に追い込まれた。
タイ政府が経営改革のためタイ航空に送り込んだ過去3代の社長はいずれも就任1、2年で辞任した。交代の度、社長不在の期間は1年以上に及んだ。直近では2018年9月に就任したスメート社長が今年4月付で辞任した。いずれも軍や政治家の利権構造、強力な労働組合などに経営改革を阻まれ、辞任に追い込まれたとみられている。
19日の閣議後に記者会見を行ったプラユット首相兼国防相は、タイ航空のこれまでの経営再建計画が労働者保護法と国営企業開発管理法に縛られ成功しなかったという見方を示した。タイ政府は財務省のタイ航空への出資を50%以下に引き下げ、国営企業開発管理法の適用外にするとともに、国営企業労働者法に則りタイ航空の労組を解体し、円滑な経営再建を目指すもようだ。
タイ政府のこうした動きに対し、タイ航空の労組は18日、会社更生手続きによる経営再建には同意するが、財務省の出資引き下げと労組解体には反対すると表明した。
(newsclip.be 2020年5月19日 15時11分)