バンコクのドゥシット宮殿で16日、ワチラロンコン国王夫妻臨席のもと、プラユット首相兼国防相(元陸軍司令官、65)ら閣僚36人が就任宣誓を行い、第2次プラユット政権が正式に発足した。
軍事政権だった第1次プラユット政権が3月の議会下院(定数500)選挙を経て表向きは民主政権に衣替えしたかたち。ただ、非議員のプラユット首相を親軍政党と非民選の議会上院(定数250)が支えるという構図は、「半分の民主主義」と呼ばれた1980年代のプレム政権時代にそっくりで、30年前に先祖返りしたと嘆く声もある。
新政権には下院で議席を獲得した19もの政党が参加する。ただ、下院議席数は過半数をわずかに超える程度。組閣の段階で早くも、主要な連立パートナーである民主党とプームジャイタイ党に加え、政権の母体となる親軍政党パランプラチャーラット党の有力派閥から閣僚ポストをめぐる不満が噴出し、前途多難を予感させる船出となった。
内閣の顔ぶれをみると、安全保障、治安維持を担当するプラウィット副首相(元陸軍司令官、74)とアヌポン内相(元陸軍司令官、69)、経済政策の司令塔であるソムキッド副首相(元財務相、66)、法務を取り仕切るウィサヌ副首相(元内閣秘書官長、67)、ドーン外相(元駐米大使、69)が留任し、ソムキッド副首相の側近のウタマ前工業相(元バンコク大学学長、59)が財務相、ソンティラット前商務相(59)がエネルギー相に転任した。このグループは軍、官僚、学者らタイのエリート層を代表し、政権の中核を担う。
パランプラチャーラット党の有力派閥からはスリヤ元工業相(65)が工業相、ソムサック元保健相(64)が法相に就任した。スリヤ氏は大手自動車部品メーカー、タイ・サミット・グループのオーナー一族の1人、ソムサック氏は北部スコータイ県の政財界に強い影響力を持つ。2人はソムキッド副首相とともにタクシン政権(2001―2006年)で閣僚を務めた。昨年、ソムキッド副首相の要請を受け、ベテラン政治家数十人を引き連れ、パランプラチャーラット党に入党。同党が3月の下院選で善戦する下地を作った。このグループは特定地域、業界への利益誘導が主な目的とみられる。組閣をめぐっては、スリヤ氏が当初約束されていたエネルギー相から外され、スリヤ氏、ソムサック氏がソンティラット氏をパランプラチャーラット党幹事長から解任するよう要求する事態に発展した。2人はその後、プラユット首相の説得に応じたが、しこりが残ったのは間違いない。
民主党はジュリン党首(元保健相、63)が副首相兼商務相、チャルームチャイ幹事長(54)が農業協同組合相、プームジャイタイ党はアヌティン党首(52)が副首相兼保健相、党実力者であるネーウィン元首相府相の弟のサクサヤーム下院議員(56)が運輸相に就任した。アヌティン氏は地場ゼネコン(総合建設会社)大手シノタイ・エンジニアリング・アンド・コンストラクションの事実上のオーナー。ネーウィン氏は東北部ブリラム県の政財界に強い影響力を持つ。アヌティン氏、ネーウィン氏もタクシン政権の元閣僚だ。
(newsclip.be 2019年7月18日 00時49分)
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