2023年4月2日、タイで問題となっている「ゼロドルツアー」とは、中国人旅行会社が中国人観光客に提供する爆安ツアーのことだ。このツアーでは、旅行者は中国人経営のホテルや土産物店などに案内され、高額な買い物を強要される。
このため、タイに落ちるべき観光収入が中国人の間だけで回されてしまい、タイの観光産業や経済に悪影響を及ぼしている。
タイ政府はこの問題に対して、2016年から「ゼロドルツアー」を取り締まり、違法な旅行代理店やバス会社を摘発したり、ライセンスを取り消したりするなどの措置をとってきたが、その後も「ゼロドルツアー」は新たな手口で復活しているという指摘がある。
一方、「ゼロドルツアー」の背後には、中国の利権が絡んでいるという見方もある。一部の報道によると、中国側の地方政府の役人や官僚が、「ゼロドルツアー」を運営する旅行代理店や土産物店の元締めとなっており、その利益を分配しているという。
また、中国の旅行会社は、「ゼロドルツアー」を通じて、中国人観光客の個人情報や消費傾向などを収集し、そのデータを他の企業や政府に売却することで、さらなる収入源を得ているという。「ゼロドルツアー」は、単なる安売り競争ではなく、中国の戦略的な目的を持ったものであると言える。
そのため、タイや他の東南アジア諸国は、「ゼロドルツアー」に対して厳しい規制や監視を行う必要がある。一方、中国人観光客も、「ゼロドルツアー」に惑わされずに、登録された旅行代理店から旅行パッケージを購入することや、タイでのマナーや文化を尊重することが求められる。
「ゼロドルツアー」は、表面的には安くて魅力的に見えるかもしれないが、実際には多くの問題を抱えている。タイと中国の両国が協力してこの問題を解決し、より良い観光関係を築くことが望まれる。
(GLOBAL NEWS ASIA 2023年4月2日 17時00分)