タイの軍事政権は1日、昨年5月に発令された戒厳令を解除した。
だが同時に、軍に戒厳令下と同じ多くの権限を認める命令を出したことから、
軍が政権の掌握を強めていると懸念する声が上がっている。
新たな特別治安措置は暫定憲法44条に基づいたもので、
5人以上の政治集会は引き続き違法とされ、
軍は治安維持に反したり、王室の侮辱を厳しく禁じた法律に
抵触したりした市民を逮捕・勾留・訴追することができる。
また、報道も検閲対象とされる。
この暫定憲法44条に対しては、
プラユット暫定首相に戒厳令よりも
さらに広範な権限を与えるものだとの批判が出ている。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチのスナイ・パスク氏は
「戒厳令解除に騙されてはいけない。暫定憲法44条の発動は、タイの独裁体制を強化するものだ」と指摘。
これによりプラユット暫定首相が「究極の権力を手にした独裁者となる」と述べた。